2012年8月20日月曜日

第30回オリンピック競技大会(2012/ロンドン)

レース名:第30回オリンピック競技大会(2012/ロンドン)自転車・マウンテンバイク
場所:イギリス Hadleigh Farm
日時:2012年8月11日 12:30~
結果:20位
1. BRESSET Julie(フランス) 1:30:52
2. SPITZ Sabine(ドイツ)+1:02
3. GOULD Georgia(アメリカ)+1:08
20. 片山梨絵(日本)+7:34



8月7日、今まで一緒に戦ってきたTEAM Offroad to Londonの仲間のお見送りの中、成田からロンドンへと出発した。2回目だからなのか、オリンピックだという気負いのようなものは不思議と全くなく「今回は旅の手配など全く心配がないので気楽な遠征だな」とリラックスして現地入りした。


レースまでの練習日は3日間。毎朝選手村からバスで1時間ほど離れたマウンテンバイク会場まで行って試走をした。そのあとは毎年世界選手権などでお世話になって信頼のある仁木メカニックにバイクを預けて手ぶらでお昼過ぎに選手村に帰る。少しゆっくりしたら選手村の横にあるマルチサポートハウスで回復をするというリズムで過ごした。日本選手団のためのマルチサポートハウスではJISSで顔なじみのスタッフが出迎えてくれて、まるで日本にいるかのようなリラックスした気分にさせてくれた。


そこでは酸素カプセル、炭酸浴と冷水の交代浴、自転車チームの柳マッサーと待ち合わせをしてのマッサージ、日本食の夕食といった回復へのサポートをすべて日本人スタッフに囲まれて受けることができた。あとは選手村に帰って眠るだけ、というストレスのないシンプルな日々だった。時差ボケこそあるものの、それ以外のサポート体制は今まで経験したどのレースと比べても超級に素晴らしく、レースだけに専念できることがとてもありがたく、自分の力を言い訳なしに世界の舞台でぶつけられることが楽しみでならなかった。

正直ロンドン五輪出場の補欠枠が回ってきたときは「あ、出られるんだ」ぐらいの感想で感動はそれほどなかった。なぜなら私がやり遂げたかったことはただのロンドン五輪出場ではなくて、自力で国別ランキングを18位以内に押し上げる力をつけて出場枠を獲得し、そこで成績を残すことだったから。それでもロンドンが近づくにつれて、苦しかった2年間の遠征の成果を思いっきり試すチャンスに恵まれたことが素直に嬉しくなってきた。そして現地で五輪ならではの日本チーム、自転車チーム、マウンテンバイクチームそれぞれの完璧なサポートを受ける過程で、その思いはさらに強くなりレースできる喜びとワクワクが膨らんでいった。




心身ともにすごく良い状態で当日を迎えた。レース2時間前に会場入りすると、すでに会場は観客で埋め尽くされていた。日本からの応援団もすでに到着して目立つ場所に日の丸を掲げて場所取りをしてくれている。ワールドカップや世界選手権とちょっと違う盛り上がり。北京で経験しているからか焦りはなく、「またここで走れるのか」と笑顔になった。


レースはスタートループ+6周回。30人中28番目にコールされ、最後尾に並んでスタートした。さすがに4年に一度っきりのレースだけあってみんなの焦りが感じられ、集団の動きはザラザラしていた。それでも幸い落車などはなくレースが進んでいく。ロックセクションの度に流れが止まってバイクを押したり、ラインが空くまで順番待ちを余儀なくされたりしながらコース中盤へ。ここらへんからは脚さえあれば順位を上げていけるポイントだ。思いっきり踏む。死ぬ気で踏む。それでも集団の最後尾についていくので必死という現実があった。



スタート直後の爆発的なパワーには毎回圧倒されてしまう。オリンピック前の練習ではシングルトラックに入る前の位置取りをイメージしながらインターバルトレーニングを重点的に行い力を向上させてきたけど、それでも力が足りなかった。

 

2周目からは順位を上げていく。コーナーの一つ、ペダリングの一回転ごとにロスを最小限に抑えるように集中しながら前を追った。途中ニュージーランドの選手の真後ろまで追いついたものの、下りで離されてしまった。極度に追い込んだ状態でロックセクションを下ろうとすると体が硬くて思うように衝撃を逃がせない。そしてブレーキが必要になったり、岩にホイールをぶつけて失速したりしてしまう。



今回のコースは観客の見やすさに配慮しながら作られた人工的なコースであるにも関わらずパワーもテクニックもMTBに必要な要素がまんべんなく要求される素晴らしいコースだった。そこで自分の力をすべてさらけ出すことができた。途中19位を走行していて北京の順位を上回れる、と必死にゴールを目指したが、最後の最後でKatrin(スイス)にかわされてしまった。最後のスプリント力も全力を出したけどかなわなかった。



スタートと最終ラップの爆発的な力、バイクを失速させない… というよりむしろ加速させるほどのテクニック。この2年間ワールドカップを転戦しながら必要を感じてトレーニングしていたことだった。精一杯やってきたが、選ばれた30人で争うレースではまだ敵わなかった。リザルトを見ながら、なんとか15位ぐらいまでは上がれるんじゃないか、とシュミレーションしてみたけど、やっぱり自分の実力では無理だったと思う。


もてる力はすべて出し切った。何が足りないのか、何もわからないまま終わった北京よりはだいぶ視界が良くなった。順位こそイマイチかもしれないけど、トップからのビハインドとレース内容は4年前より向上していて、ベストの走りだと自信を持って言える。やれるだけやってみて、今はとてもすがすがしい気分だ。


このレースを走らせてくれた多くのサポーターのみなさま、本当にありがとうございました。私が感じた世界との差。あえて足りないものをありのままに書いてみたけど、日本人でも上手く引き継いでやっていけば必ず追いつけるものと信じています。引き続き日本MTBチームの応援をよろしくお願いいたします!

Photo : Ichigen Kaneda

バイク:SPECIALIZED Fate Expert Carbon 29
タイヤ:SPECIALIZED S-WORKS Renegade1.95 (1.3Bar)
ヘルメット:OGK Kabuto REDIMOS
アイウエア:OGK Kabuto SMART
ウエア:GOLDWIN
データ:POLAR RS800CX BIKE
ペダル:SHIMANO XTR
マッサージオイル:Sports Balm イエロー3
ニュートリション:パワージェル、GOLD’S GYMアルティメッエネルギードリンク
テーピング:New-HALE 
コンディショニング:日本カイロプラクティックセンター大船 
サプリメント・トレーニング:ゴールドジム
メカニックサポート:轍屋自転車店
アイウエア調整:メガネナカジマ
遠征サポート:じてんしゃの杜
合宿サポート:SY-Nakキャビン(長野県 野辺山高原)