2012年10月29日月曜日

JCFジャパンシリーズ J1 クロスカントリー第7戦


レース名:JCFジャパンシリーズ J1 クロスカントリー第7戦
場所:長野県 白馬村クロスカントリースキー場(スノーハープ)
日時:2012年10月28日 11:45~
結果:優勝
1. 片山梨絵(SPECIALIZED)1:21:27.26
2. 與那嶺 惠理(チーム・フォルツァ!) +5:22.72
3. 中込 由香里(team SY-Nak)+11:43.50



ついに最後のレースがやってきた。といっても特別な感情が沸き起こるでもなく、自分でも意外なほどいつもと変わらないレースウイークを迎えた。せっかく応援に足を運んでくれる人たちのために、自分の今できる最高の走りをできるように、9年間やってきたいつもどおり。淡々と準備を進めていった。レース前日、今回の会場と同じ白馬さのさかエリアにある、さのさかスキー場のコースへ行った。9年前、大学生のころレース前に仲間とキャンプした駐車場と初めてジャパンシリーズで優勝したゴールを見るために。ここから始まって今まで、いろんな人を巻き込んでやりたいことに精一杯挑戦して、本当に幸せ者だ。最後まで、しっかり走りたい。




レース前日までは走りやすいコンディションだったコースは前日の夜からの雨でマッドコンディションに変わった。林道が多くテクニカルセクションが少ないのがちょっとさみしいコースだったので、マッドになるくらいでちょうど良い。体を冷やさないように注意しながらウォームアップを行い、スタートラインに立った。朝からカイロプラクティックで体を整えてもらい、完璧にバイクをセットしてもらい、雨をしのぐブーステントを招集エリアの目の前に立ててもらって、スタッフに囲まれて。この環境でレースできるのが最後というのはちょっとさみしい。





スタート2分前の独特の緊張感を味わい、号砲とともにコースへ飛び出した。コース序盤は斜度も路面抵抗も少なく、ハイスピードで楽しい区間だ。中込選手と與那嶺選手がうしろに続いている。フィードゾーンを通り過ぎ、コース中で一番長い登りに差し掛かる。與那嶺選手が前に出てくるかな、と思ったけど、後ろを走りたい様子だ。泥で滑りやすくなった路面を彼女がどのように登っていくのか見てみたい老婆心のようなものが出てきそうになったけど、前を見て自分のレースに集中しなおす。なるべくスムーズなライン、泥の路面ならではのペース配分を守ること、など自分の持っているものを見せられるように前を走っていく。






2周目に入ると5分前にスタートしたエキスパート男子の選手に追いつきだす。みんなラインを譲ってくれて毎回ありがたい。「あ~・・・」「くそー」「これで抜かされるのも最後だ・・・」「がんばって!」などエキスパートの人のリアクションを聞くのもこれで最後。レース中は答える余裕がないときもあるけど、毎回結構楽しんでリアクションを聞いていました。一緒にコースをシェアしてきたエキスパートのみなさん、ありがとう。



レースは5周回。後続との差の開きがどんどん大きくなってきた。でも自分はもっと速く走りたいし、雨が止んでよりテクニカルになった路面(雨が降ってシャバシャバの泥のほうが抵抗が少なく走りやすい)をもっとスムースにこなしたい。うまくこなせて楽しくなったり、転んで悔しかったりしがら周回を重ねていく。そのまま、みんなの待ってくれているゴールラインへ帰って行った。もっと余韻に浸りたかったけど、左膝から冷たいものが流れている。ラスト2㎞を切った最後のシングルでバランスを崩したときに付いた膝が運悪く丸太の上で、膝を深く切ってしまったのだ。あーあ、最後までかっこ悪い。ゴールに集まってくれたみんなも膝の流血をみたらドン引きでそのまま病院送りとなったのでした。まぁこれがカタヤマリエです。




膝の縫合が終わって会場に戻ると表彰式。そのあとには盛大なサプライズ引退セレモニーがあって、たくさんの仲間、花、プレゼントに囲まれて本当に幸せな時間でした。本当に、長い間応援、サポートありがとうございました。日本のMTBはまだまだ強くなるし、盛り上がっていきます!これからもみんなで夢を追っていきましょう。よろしくお願いします。





All Photos : Shojiro Nakabayashi


バイク:SPECIALIZED Fate Expert Carbon 29
タイヤ:SPECIALIZED S-WORKS GRAUND CONTROL F2.1、R1.9(1.5気圧)
ヘルメット:SPECIALIZED S-Works Prevail
アイウエア:OGK Kabuto SMART
ウエア:WAVE ONE半袖ジャージ・レジェフィットサイクルパンツ
データ:POLAR RS800CX BIKE
ペダル:SHIMANO XTR
マッサージオイル:Sports Balm イエロー2、レッド1
ニュートリション:パワージェル、GOLD’S GYMアルティメッエネルギードリンク
テーピング:New-HALE 
コンディショニング:日本カイロプラクティックセンター大船 
サプリメント・トレーニング:ゴールドジム
メカニックサポート:轍屋自転車店
アイウエア調整:メガネナカジマ
遠征サポート:じてんしゃの杜
合宿サポート:SY-Nakキャビン(長野県 野辺山高原)



2012年10月24日水曜日

2012 JAPAN CUP CYCLE ROAD RACE

レース名:2012 JAPAN CUP CYCLE ROAD RACE
場所:栃木県 宇都宮森林公園周回コース
日時:2012年10月20 日 11:07〜  3周回(42.3km)
結果:オープン女子 2位
1位 與那嶺恵理 茨 城  1:17'01" 0'00" 32.9km/h
2位 片山 梨絵 神奈川  1:18'19" +1'18" 32.4km/h
3位 上野みなみ 青 森  1:18'54" +1'53" 32.1km/h
4位 西 加南子 千 葉  1:18'54" +1'53" 32.1km/h
5位 金子 広美 三 重  1:19'02" +2'01" 32.1km/h
6位 福本 千佳  大 阪  1:19'11" +2'10" 32.0km/h



 今回が競技生活最後のロードレースとなった。「最後ぐらいビビらずのびのび走ろう」と気持ちよくスタートした。1周目から自分の走りやすいペースで積極的に登って行く。斜度のきつい登りのコーナーに誰かがチョークで書いてくれた「Thanks RIE」の文字が嬉しかった。ロードの下りは久しぶりだったので、山頂からは信頼のおける西選手に先行してもらって感覚を取り戻す。



1周目の山岳を終えた時点で西選手、私、与那嶺選手の3人に絞られたが、平たん区間で後ろの集団も合流して10名ほどとなった。ローテーションしながら2周目に入っていく。2周目最後の登りの通称「鶴カン」からペースアップしてそのまま3周目の山頂までロングアタックし独走に持ち込もう、というのは先週のアジア選手権が終わった後からなんとなくイメージしていた。今できなかったら一生できないんだな、と思い切って飛び出す。



と、ほぼ同時に逆側からは同じ考えであろう与那嶺選手がアタックした。後ろに付く形でファイナルラップへ。そのまま山頂まで二人で行きたかったけど、力足りず徐々に差が開いてしまった。山頂付近で振り返ると西選手との距離が近い。少し呼吸を整えて、下りの速い西選手に先行してもらい一緒に下っていく。と、そこでアクシデント。途中の左コーナーで西選手がバランスを崩した。その時点で私はとっさに予備ブレーキをして減速していたので、そのあとハイサイドを起こした彼女の体がコーナーの外側に投げ出された時にはなんとか停止&足出しで落車はまのがれた。せっかくのチャンスだったのに、あとは単独で前を追うしかない。



下りきった平たんでは前を走る与那嶺選手も、後ろを走る西選手も見える。西選手が落車後復帰してちゃんと走っていることに安心したが、待つには微妙な距離だったのでペースを緩めず前を追った。結果はタイムトライアルでも実績のある与那嶺選手の圧勝!夏休みを一緒にトレーニングして過ごした仲間で努力はよく知っているし、このレースを狙っていることも知っていたので、これからの時代を担う有望な選手が「狙ったレースで最高のパフォーマンスを発揮する」ことを達成し、リスペクトの思いだ。




何かと2位の多かったロードレース。最後ぐらい勝ちたかったけどまた2番。まったく残念ではあるけど、締めくくりも私のロード競技人生を象徴するような結果で終わってしまいました。ゴール後、一緒に走ってきたみんなと話をするひと時は最高に楽しく、同時にちょこっと切なかったです。これからも応援しているので日本の女子のみなさん、頑張ってください!


All Photos : Shojiro Nakabayashi

バイク:SPECIALIZED S-Works Amira SL4
ホイール:SHIMANO DURA-ACE C35 TU
コンポーネント:SHIMANO DURA-ACE Di2
ヘルメット:SPECIALIZED S-Works Prevail
アイウエア:OGK Kabuto SMART
データ:POLAR RS800CX BIKE
マッサージオイル:Sports Balm イエロー2
ニュートリション:パワージェル、GOLD’S GYMアルティメッエネルギードリンク
テーピング:New-HALE
コンディショニング:日本カイロプラクティックセンター大船 
サプリメント・トレーニング:ゴールドジム
メカニックサポート:轍屋自転車店
アイウエア調整:メガネナカジマ
遠征サポート:じてんしゃの杜
合宿サポート:SY-Nakキャビン(長野県 野辺山高原)

2012年10月21日日曜日

The 18th Asian Mountain Bike Championship


レース名:The 18th Asian Mountain Bike Championship
場所:レバノン バスキンタ
日時:2012年10月14日 9:00~
結果:優勝
1. KATAYAMA Rie(日本) 1:33:53
2. BAI Yue(中国)+2:48
3. THI NHU QUYNH Dinh(ベトナム)+13:59

©joe39.net

2004年中国不在のアジア選手権でチャンピオンになって以来、7年間中国に負け続けてきた。2005年ごろはスタート直後から全く相手にならず、表彰台にすら上がれなかった。2008年にやっとスタートループだけでも中国と混走できるようになり、アジア大会のある2010年には本気で打倒中国を目標にシーズンの全てをかけたけど、アジア選手権2位、アジア大会は3位で涙した。

そのころには中国選手全員に負けるわけではなく間に食い込めるようにはなっていたにもかかわらず、2011年は前年に勝てていた選手に負けてまた2位。そして引退前最後のチャンスが今回のアジア選手権だった。2012シーズンが始まる前にはロンドン五輪出場が不確定でそれをゴールにすることができなかったため、最もプライオリティの高いレースをこのアジア選手権に決めていた。開催月が変更になったのには驚いたけど、おかげでシーズン前半の疲労をしっかり抜くことができた。6月以降は月1本のレースに絞るようにしたらどんどん調子が上がっていった。

ある程度の好感触をつかんでレバノン入り。とはいえ時差が6時間あること、標高がホテルで1500m、レース会場で1200mあることからコンディションの調整には細心の注意を要した。今回のナショナルチームは少数精鋭でどの選手も(日本後方支援を含めた)スタッフも純粋に「勝つ」ことを目指していてとても良い雰囲気だった。レバノン在住のスペシャライズドディストリビューターの方にも多大なサポートをいただき、最高の環境でレースを迎えた。


コースは前半が下り基調のシングルトラックが続き、コース後半はビッククライムがある。試走を重ねるにつれてどんどんリズムをつかみ、相性の良いコースだと感じた。号砲とともに、レースがスタートする。完璧なタイミングでアスファルトの緩やかな登りを先頭で飛び出し、そのまま下って左のシングルトラックに入る。とその時、自分の左後方を走っていた選手が思いっきり直進して私のリアホイールに突っ込んできた!



なんとか転ばずに失速だけで走り出したが、スポークが折れたようだ。バイクからガラガラと派手な音がする。「スタートして何秒と経っていないのに、調子がいいのに、最後のチャンスなのに・・・」一瞬混乱したけど、とにかく止まる暇はないので走り続けていると意外と問題なく走行できた。これ以上バイクトラブルが悪化しないことを祈りながら強い気持ちで走っていく。


©joe39.net
途中中国選手と2~3回抜きつ抜かれつを繰り返し、コース中盤からは完全に前に出ることができた。リアホイールを見てみるとスポークが何本か折れているので左右に大きくフレている。走行不能なトラブルを避けるためにはホイール交換をしなくては。そのタイミングで中国に逃げられてはレース展開が悪くなると思ったので、とにかく1周目の登りは必死にタイム差を稼ぐことに集中した。

1周目終盤のテクニカルアシスタンスゾーンで仁木メカニックに後輪を交換してもらう。素早く作業してくれながら「よく離してきたな」と冷静な声で声掛けしてくれて、後半もトップを譲らず集中を切らすことなく走ることができた。事前に頼んでおいたレバノン人のサポーターが無線で後続とのタイム差を教えてくれる。今回はとにかく勝つことがすべて。パンクリスクの高いセクションはしっかり減速し、スピードに乗せられるセクションは無駄なく追い込む。


©joe39.net
そして、やっと、アジアでの真のチャンピオンになることができた。ゴールした瞬間の気持ちは最高!挑戦し続けなければチャンスは訪れないし、チャンスが訪れた時に最高の自分である必要もある。やっとその2つがマッチした。最高のメンバーに恵まれて、最高の結果を残せて、本当に幸せだ。この最強ニッポンMTBチームが更なる発展をしていくように、これからもそれぞれの立場で力を合わせていきたい。



バイク:SPECIALIZED Fate Expert Carbon 29
タイヤ:SPECIALIZED S-WORKS FAST TRACK (1.5Bar)
ヘルメット:SPECIALIZED S-Works Prevail
アイウエア:OGK Kabuto SMART
ウエア:GOLDWIN
データ:POLAR RS800CX BIKE
ペダル:SHIMANO XTR
マッサージオイル:Sports Balm イエロー2
ニュートリション:パワージェル、GOLD’S GYMアルティメッエネルギードリンク
テーピング:New-HALE 
コンディショニング:日本カイロプラクティックセンター大船 
サプリメント・トレーニング:ゴールドジム
メカニックサポート:轍屋自転車店
アイウエア調整:メガネナカジマ
遠征サポート:じてんしゃの杜
合宿サポート:SY-Nakキャビン(長野県 野辺山高原)



2012年9月18日火曜日

2012 UCI MOUNTAIN BIKE WORLD CHAMPIONSHIPS

レース名:2012 UCI MOUNTAIN BIKE WORLD CHAMPIONSHIPS
場所:オーストリア SAALFELDEN LEOGANG
日時:2012年9月8日 11:00~
結果:36位
1. BRESSET Julie(フランス) 1:32:25
2. DAHLE FLESJAA Gunn-Rita(ノルウェー)+1:47
3. GOULD Georgia(アメリカ)+3:12
36. 片山梨絵(日本)-1rap


ロンドン五輪から3週間後、世界選手権のあるオーストリアへと向かった。初めて世界選手権に出場したのは2004年のフランス大会。初めての国際大会で選手のレベルの高さとコースの難易度にただただ圧倒された遠征だった。それから毎年挑戦し続け、今回は9回目の世界選手権日本代表となった。今年のジャパンチームは監督に自転車競技先進国フランス在住のVictorを起用し、選手構成は若手選手中心の少数精鋭。今後の強化を意識したよい動きだと思った。実際遠征中のチームの雰囲気はとてもよく、若手選手は食事やコース攻略、トレーニング方法など多くのことを学べる1週間になったと思う。私はそんな若手のエネルギーをもらいながら気持ちよくレースに集中していった。



XCOレースの2日目の夕方、チームリレーが行われた。各国4人の選手(エリート男子、U23男子、Jr男子、女子)がXCOで使うコースを1周ずつリレーする国別対抗レース。日本はスタートの位置取りなど経験の多い山本幸平が1stライダーとなった。10位と健闘して2ndライダーの中原義貴へ。トップからのビハインドを最小限に抑える力走の16位で私が第3走者だ。前との位置が近かったおかげで4か国パスしてアンカーの前田公平へつなぐ。もっとタイム差を稼いでつなぎたかったけど、午前中に降った雨でコースがかなりスリッピーになりDHセクションで苦戦してしまった。公平も踏ん張ってくれて15位でフィニッシュ。年代別、男女まんべんなく強化している国が良い結果を残すチームリレー。まずはこのリレーでトップ10に入れるように日本のチームもみんなで知恵を出し合って強くなっていきたい。毎年世界選手権だけで走るチームリレーだが、普段とは異なる団体競技ということでチームの結束が強まるし、XCO本番の前に全力でコースを走ることで自分の課題をじっくりイメージしてコースの流れを作り直すことができる。翌日の試走ではリレーでうまくいかなかったセクションをおさらいして、XCO当日に備えた。


レース2日前の雨で路面がかなりテクニカルになった今回のコース。女子エリートのレース当日までにだんだん回復傾向にはあったけど、雨の中ほかのクラスのレースや試走をした結果根っこが掘れてテクニカルなことに変わりはなかった。オリンピックから世界選手権前の野辺山合宿ではスタート後にパワー負けしないことをイメージしてトレーニングを行ってきた。W-UP時には脚の調子が良いように感じたので落ち着いてスタートラインについた。号砲とともに走り出す。周りの様子を見ながら走っていき、「いまだ」という瞬間に練習で強化したパワーをイメージして順位を上げていった。今シーズンスタートが決まったことがほぼなかったけど、今回はうまくいった!この後いつものように後半追い上げていけばベストリザルトが望めるかもしれないと気合を入れた。が、スタートループで混雑を避けるためB-lineを下ったら何故かA-lineから混乱した選手が逆走して突っ込んできた!1周目に入り気を取り直してトラブルで抜かされた選手を抜き返す。いい集中だった。コース中盤にある滑りやすい下りでハンドリングのタイミングが合わない。ペースを乱されるがまた登りで抜き返して前を追う。しかし3周目に入った頃から登りでもパワーを感じなくなってきて、4周目にはどれだけ我慢しても、工夫しても、失速している自分を感じた。先月のオリンピックのようないいレースをすると、そのあとの疲労の抜けが年々遅くなっているのがここ最近の悩みだ。最後まで、どんな状況でも最後まで。。。そう念じながら走っていると、コース上に男の人の足が。「邪魔だ~」と思いながら前に進もうとしたら、なんと80%カットのラップアウトだった。

All Photos : Aya Tazaki
先頭からの遅れが規定以上の時間になったので、最後の周回に入れなかったのだ。こんなことは久しぶりで最初は何が起こったのか分からなかったけど、私のレースがそこで終わった。そのあとゴールラインへ移動してさっきまで一緒に走っていた選手たちのゴールシーンを最後まで見ていた。これだけの観客に囲まれて、この境最高峰の舞台で走っていたのか。それはとても幸せなことだと思う。自分が走っているときは必死すぎて充分に感じることのできなかった光景だ。そして目標のトップ20の選手がゴールした時はとても複雑な気分だった。世界選手権のベストリザルトは2010年の24位。この年はパンクしてホイール交換していて、それがなければトップ20に入れる走りができた。のに、結果につながらなかった。それがレースだ。このへんで走れていたという誇りと、もっと強くなりたかったなぁというちょっと切ない感じ。でも胸を張って「やれるだけやった」と言える、充実していた!という気持ち。今回のラップアウトは「まさか」だったけど、このゴールシーンを生で見られて、肌で感じられて本当に良かった。ここまで走ってくる間ずっとの応援とサポート、本当にありがとうございました。


レース翌日はXCO会場とは少し離れた街中で行われるクロスカントリーエリミネーターに出場した。観客にもっとXCレースを楽しんでもらうことを意識して最近できたレースで、クロスカントリーレースにエントリーしている選手が出場できる。世界選手権でチャンピオンを決めるのは今年が初めて。何事も経験ということで出場してみることにした。コースは1周200mほど。街中のレストランの前をスタートして50mぐらい緩やかに登る。猛ダッシュできる斜度と距離なので迫力があって観客が多いポイントだ。その後はコーナーと5段程度の階段下りを小刻みにつなぎ、スピードに乗ったところで20段ほどある階段を一気に駆け降りる。最初の数段は飛び越えて階段の途中に着地しタタタッと駆け降りる形になるので走っていて気持ちが良いし観客も多く、一番好きなセクションだった。石畳の滑りやすい左コーナーをぬけると後は途中にジャンプ台が一か所ある平たん直線の鬼漕ぎでゴール。この100%舗装路の街中コースを2周で競われる。男女別に年齢カテゴリーなく競われるルールで、最初は30秒ごとに一人ずつ走るタイムトライアル。上位32名がクオリファイされるところ、残念ながら私は35位に終わってしまった。その後は私も露店の生ビールをいただきながら会場を盛り上げる。クオリファイされた選手は4名同時出走で2名ずつ勝ち上がるトーナメント方式。迫力ある駆け引きと観客の盛り上がりで選手も観客もとても楽しめるレースだった。アドレナリンたっぷりのショートレースで選手の集中した目を間近で見られるのはとても刺激的でやっぱりレースは最高でした!



バイク:SPECIALIZED Fate Expert Carbon 29
タイヤ:SPECIALIZED S-WORKS FAST TRACK (1.5Bar)
ヘルメット:SPECIALIZED S-Works Prevail
アイウエア:OGK Kabuto SMART
ウエア:GOLDWIN
データ:POLAR RS800CX BIKE
ペダル:SHIMANO XTR
マッサージオイル:Sports Balm イエロー2 レッド1(膝、足首)
ニュートリション:パワージェル、GOLD’S GYMアルティメッエネルギードリンク
テーピング:New-HALE 
コンディショニング:日本カイロプラクティックセンター大船 
サプリメント・トレーニング:ゴールドジム
メカニックサポート:轍屋自転車店
アイウエア調整:メガネナカジマ
遠征サポート:じてんしゃの杜
合宿サポート:SY-Nakキャビン(長野県 野辺山高原)

2012年8月20日月曜日

第30回オリンピック競技大会(2012/ロンドン)

レース名:第30回オリンピック競技大会(2012/ロンドン)自転車・マウンテンバイク
場所:イギリス Hadleigh Farm
日時:2012年8月11日 12:30~
結果:20位
1. BRESSET Julie(フランス) 1:30:52
2. SPITZ Sabine(ドイツ)+1:02
3. GOULD Georgia(アメリカ)+1:08
20. 片山梨絵(日本)+7:34



8月7日、今まで一緒に戦ってきたTEAM Offroad to Londonの仲間のお見送りの中、成田からロンドンへと出発した。2回目だからなのか、オリンピックだという気負いのようなものは不思議と全くなく「今回は旅の手配など全く心配がないので気楽な遠征だな」とリラックスして現地入りした。


レースまでの練習日は3日間。毎朝選手村からバスで1時間ほど離れたマウンテンバイク会場まで行って試走をした。そのあとは毎年世界選手権などでお世話になって信頼のある仁木メカニックにバイクを預けて手ぶらでお昼過ぎに選手村に帰る。少しゆっくりしたら選手村の横にあるマルチサポートハウスで回復をするというリズムで過ごした。日本選手団のためのマルチサポートハウスではJISSで顔なじみのスタッフが出迎えてくれて、まるで日本にいるかのようなリラックスした気分にさせてくれた。


そこでは酸素カプセル、炭酸浴と冷水の交代浴、自転車チームの柳マッサーと待ち合わせをしてのマッサージ、日本食の夕食といった回復へのサポートをすべて日本人スタッフに囲まれて受けることができた。あとは選手村に帰って眠るだけ、というストレスのないシンプルな日々だった。時差ボケこそあるものの、それ以外のサポート体制は今まで経験したどのレースと比べても超級に素晴らしく、レースだけに専念できることがとてもありがたく、自分の力を言い訳なしに世界の舞台でぶつけられることが楽しみでならなかった。

正直ロンドン五輪出場の補欠枠が回ってきたときは「あ、出られるんだ」ぐらいの感想で感動はそれほどなかった。なぜなら私がやり遂げたかったことはただのロンドン五輪出場ではなくて、自力で国別ランキングを18位以内に押し上げる力をつけて出場枠を獲得し、そこで成績を残すことだったから。それでもロンドンが近づくにつれて、苦しかった2年間の遠征の成果を思いっきり試すチャンスに恵まれたことが素直に嬉しくなってきた。そして現地で五輪ならではの日本チーム、自転車チーム、マウンテンバイクチームそれぞれの完璧なサポートを受ける過程で、その思いはさらに強くなりレースできる喜びとワクワクが膨らんでいった。




心身ともにすごく良い状態で当日を迎えた。レース2時間前に会場入りすると、すでに会場は観客で埋め尽くされていた。日本からの応援団もすでに到着して目立つ場所に日の丸を掲げて場所取りをしてくれている。ワールドカップや世界選手権とちょっと違う盛り上がり。北京で経験しているからか焦りはなく、「またここで走れるのか」と笑顔になった。


レースはスタートループ+6周回。30人中28番目にコールされ、最後尾に並んでスタートした。さすがに4年に一度っきりのレースだけあってみんなの焦りが感じられ、集団の動きはザラザラしていた。それでも幸い落車などはなくレースが進んでいく。ロックセクションの度に流れが止まってバイクを押したり、ラインが空くまで順番待ちを余儀なくされたりしながらコース中盤へ。ここらへんからは脚さえあれば順位を上げていけるポイントだ。思いっきり踏む。死ぬ気で踏む。それでも集団の最後尾についていくので必死という現実があった。



スタート直後の爆発的なパワーには毎回圧倒されてしまう。オリンピック前の練習ではシングルトラックに入る前の位置取りをイメージしながらインターバルトレーニングを重点的に行い力を向上させてきたけど、それでも力が足りなかった。

 

2周目からは順位を上げていく。コーナーの一つ、ペダリングの一回転ごとにロスを最小限に抑えるように集中しながら前を追った。途中ニュージーランドの選手の真後ろまで追いついたものの、下りで離されてしまった。極度に追い込んだ状態でロックセクションを下ろうとすると体が硬くて思うように衝撃を逃がせない。そしてブレーキが必要になったり、岩にホイールをぶつけて失速したりしてしまう。



今回のコースは観客の見やすさに配慮しながら作られた人工的なコースであるにも関わらずパワーもテクニックもMTBに必要な要素がまんべんなく要求される素晴らしいコースだった。そこで自分の力をすべてさらけ出すことができた。途中19位を走行していて北京の順位を上回れる、と必死にゴールを目指したが、最後の最後でKatrin(スイス)にかわされてしまった。最後のスプリント力も全力を出したけどかなわなかった。



スタートと最終ラップの爆発的な力、バイクを失速させない… というよりむしろ加速させるほどのテクニック。この2年間ワールドカップを転戦しながら必要を感じてトレーニングしていたことだった。精一杯やってきたが、選ばれた30人で争うレースではまだ敵わなかった。リザルトを見ながら、なんとか15位ぐらいまでは上がれるんじゃないか、とシュミレーションしてみたけど、やっぱり自分の実力では無理だったと思う。


もてる力はすべて出し切った。何が足りないのか、何もわからないまま終わった北京よりはだいぶ視界が良くなった。順位こそイマイチかもしれないけど、トップからのビハインドとレース内容は4年前より向上していて、ベストの走りだと自信を持って言える。やれるだけやってみて、今はとてもすがすがしい気分だ。


このレースを走らせてくれた多くのサポーターのみなさま、本当にありがとうございました。私が感じた世界との差。あえて足りないものをありのままに書いてみたけど、日本人でも上手く引き継いでやっていけば必ず追いつけるものと信じています。引き続き日本MTBチームの応援をよろしくお願いいたします!

Photo : Ichigen Kaneda

バイク:SPECIALIZED Fate Expert Carbon 29
タイヤ:SPECIALIZED S-WORKS Renegade1.95 (1.3Bar)
ヘルメット:OGK Kabuto REDIMOS
アイウエア:OGK Kabuto SMART
ウエア:GOLDWIN
データ:POLAR RS800CX BIKE
ペダル:SHIMANO XTR
マッサージオイル:Sports Balm イエロー3
ニュートリション:パワージェル、GOLD’S GYMアルティメッエネルギードリンク
テーピング:New-HALE 
コンディショニング:日本カイロプラクティックセンター大船 
サプリメント・トレーニング:ゴールドジム
メカニックサポート:轍屋自転車店
アイウエア調整:メガネナカジマ
遠征サポート:じてんしゃの杜
合宿サポート:SY-Nakキャビン(長野県 野辺山高原)



2012年7月18日水曜日

ジャパンシリーズ#4 富士見大会

レース名:ジャパンシリーズ#4 富士見大会
場所:長野県 富士見パノラマリゾート
日時:2012年7月15日 11:05〜
結果:優勝
1, 片山梨絵(SPECIALIZED)1:27:46.47
2, 中込 由香里(team SY-Nak)+9:09.26
3, 與那嶺 惠理(チーム・フォルツァ!) +9:45.50

Photo : KANEYAN

先月の全日本選手権で今シーズン前半戦が一区切りした後、1ヶ月ちょっとXCOレースは走らず後半戦の準備をしていた。そろそろギアチェンジをしようというタイミングの6月末にロンドンオリンピック出場の知らせを受け、今大会はジャパンシリーズの仲間への出場報告とロンドンオリンピック前最後のXCOレースという事になった。

Photo : KANEYAN

久しぶりのレース感覚を呼び起こし、現状把握とやりたい走りのイメージをしながら丁寧に走っていく。号砲と共に勢いよく飛び出したのは若手の岩出選手。綺麗な加速でシングルトラックへ先頭で入っていく。再び登りに差し掛かるところで声をかけて少しでも長く一緒に走りたいと思った矢先にチェーンを落としてしまうトラブルでそのまま一人旅となった。路面がウエットだったので転倒のトラブルを避けるべく慎重になりすぎた部分もあったけど、無理に力むことなく良いイメージでレースを走れた。あとはキレの部分を研ぎ澄ませば4週間後には良い走りが出来そうだ。


Photo : KANEYAN
Photo : UBBY

結果は優勝で、2位に安定して強いアテネオリンピアンの中込選手、そして3位にレースデビューにして表彰台という素晴らしい成績を残した若手の與那嶺が入った。女子エリートのレースは参加人数こそ少ないものの小林選手(アトランタ五輪代表)と中込選手と私の3人のオリンピアンと岩出選手や與那嶺選手のような若手の選手が一緒になって走っている。気がつけばベテラン組に私も入ってしまっているようなので、若手選手に少しでも何か感じてもらえる走りをしたいという新しいやりがいのようなものを感じている。

Photo : KANEYAN

Photo : UBBY

次のレースは8月11日、ロンドンオリンピック。今回の五輪は力みなく良い状態で迎えられそうだ。今までの経験を全てロンドンのコースで発揮できるように、一日一日を大切に過ごしたい。

Photo : KANEYAN


バイク:SPECIALIZED Fate Expert Carbon 29
タイヤ:SPECIALIZED S-WORKS FAST TRACK
ヘルメット:SPECIALIZED S-Works Prevail
アイウエア:OGK Kabuto SMART
ウエア:WAVE ONEレジェスクエア半袖ジャージ・レジェフィットサイクルパンツ
データ:POLAR RS800CX BIKE
ペダル:SHIMANO XTR
マッサージオイル:Sports Balm イエロー3
ニュートリション:パワージェル、GOLD’S GYMアルティメッエネルギードリンク
テーピング:New-HALE 
コンディショニング:日本カイロプラクティックセンター大船 
サプリメント・トレーニング:ゴールドジム
メカニックサポート:轍屋自転車店
アイウエア調整:メガネナカジマ
遠征サポート:じてんしゃの杜
合宿サポート:SY-Nakキャビン(長野県 野辺山高原)